ソレデモワタシハアナタヲアイス
「ま、それは後にして。サキ、今度の日曜、ウチに来ない?」
今までの空人なら間違いなく俺達にあーだこーだと美咲の態度を批判して来るところだというのに、今の空人は見事に美咲の攻撃を止めてみせた。
「…は?なんで私がいきなりソラん家、行かなきゃなんないのよ?」
止まったどころか美咲はすっかりペースを崩されている。
「何?空人、家に誰も居ないからって美咲の事、誘ってんの?」
美咲の勢いが弱まっているせいか代わりに真由子がニヤついてみせた。
「バカ!違ぇーよ!居ないんじゃなくて居るからだって!」
慌てた空人の発言に一瞬、静けさが襲った。
「…空人、付き合い始めていきなり両親に紹介?」
「うるせぇーよ!それに父さんはまだ単身赴任中だって!」
冷静に沈黙を破った俺に何を意識したのか、空人が真っ赤になって反論して来た。
「って言うかだからなんで私がソラん家に行かなきゃなんないのって聞いてるんだけど」
美咲は不機嫌な顔で空人に答えを迫った。
「…俺だって自分から進んでこのタイミングでウチに来いって言ってるワケじゃないし…っつーかそもそもサキに原因があんだかんな!」
何を開き直ったのかさっきまで余裕で美咲を扱っていた空人はムスッとした顔で話し始めた。
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