ソレデモワタシハアナタヲアイス

空人家の事情

「空人！空人！」
リビングでくつろいでいる俺を目掛けて学校から帰って来た弟の海人が飛んで来た。
「海人…おまえ、兄貴呼び捨てにすんなって何回言えば…」
「空人と同じ学校の頭良くてバスケ上手くて美人の本郷美咲って女居るの知ってる？」
いつもの台詞を言い終わらないうちに海人はテンションを上げたまま噛り付いて来た。
「…なんでおまえがサキの事、知ってんだよ？」
あまりにも唐突に予想外の質問をされた俺は呆気に取られていた。
「本郷美咲、知ってんの？友達だったりしない？なんかツテない？」
海人は興奮しているせいか顔を赤らめている。
「知ってるも何もサキは俺のカノジョだし」
俺の正直な返答に海人が固まったのが分かった。
「ほ、本郷美咲だぞ？あの本郷美咲だからな？」
納得出来ないのか海人は何度も確認をした。
「何？空人、いつの間にカノジョなんて出来たの？」
騒ぎを聞き付けて夕飯の用意をしていた母さんまでもが参戦して来た。