ソレデモワタシハアナタヲアイス

許容範囲

「ほ、本物だ…」
日曜日、どうにか家に連れて来たサキを目の前に海人は開いた口が閉まらない様子だった。
「お、俺、海人です！中３です！」
緊張しているせいか海人はやけに威勢良く自己紹介をしてみせた。
「どうぞ、入って入って。空人がいつもお世話になってるみたいで」
続いていかにも生のサキを見ようと母さんが玄関に現れた。
「出て来なくて良いから」
負けてたまるかという思いでサキを連れて来たのは良いけれど、なんだかこの状況は少し恥ずかしい。
―――っつーかサキのヤツ、確か…―――
俺はハッとある事を思い出した。
サキは極度の人見知りだ。
隆太に紹介された時、なんて態度の悪い女なんだと俺は思っていた。
―――この状況はマズイかも…―――
さっきからピクリともしないサキを俺は横目でうかがった。