ソレデモワタシハアナタヲアイス
「空人、これは向こうの文化だから変にヤキモチ焼かない方が良いと思うよ?」
見透かした顔で隆太が言った。
「サキ、向こうで俺が居る事、ちゃんと言ったのかよ?」
俺は不機嫌になった顔を隠せないままサキに聞いた。
「カレシが居るって事?そういえば聞かれなかったから言ってないかも」
案の定これだ。
やっぱりカッコ悪いと分かっていても行くなと言うべきだったのかもしれない。
サキはモヤモヤした俺の気持ちに気付かないのか、かまう事なくまた写真の説明を続けた。
他の男と話すなとは言えない。
きっとサキはそういうのを嫌うはずだ。
やっと彼女を手に入れたはずなのに安心出来ないでいるのは俺1人なのだろうか。
もしかしたらサキは俺ほど、会いたいとか連絡を取りたいとか思っていないのかもしれない。
悪く考えればそんなに俺の事を好きではないのかもしれない。
確かに少し強引に押し切って始めた付き合いだった。
それにサキは俺を「好き」と言ったのではなく「付き合っても良いよ」と言っただけだった。
人間、ネガティブになるとどこまでも悪い方に考えが進む。
俺は自分の不安を掻き消す為にサキを手に入れる方法を探し始めた。
< 141 / 435 >

この作品をシェア

pagetop