ソレデモワタシハアナタヲアイス

「それってただの欲求不満じゃないの？」
サキと真由子が来る前の教室で、休日の出来事と今のワケの分からないモヤモヤした思いを告白した俺に、隆太はバカにしたような笑みを作った。
「なんだよ、欲求不満って…別にそんなんじゃないし…」
俺のこの気持ちはきっとサキに触れたからといって解消出来るものではない。
そんな簡単な事ではないと思う。
「ま、全然、分かんないワケじゃないけどね」
真剣な俺の相談に隆太から笑みが消えた。
「結局、空人は美咲を独占したいんでしょ？首に縄、付けて閉じ込めておきたいって感じ？」
突然、言われたハードはシチュエーションに俺はリアルに想像をしてしまった。
「いや、サキなら手錠と足枷と目隠しも付ける。って何、考えてんだよ！俺！」
そんなのでも全然足りない。
毎日、頭がおかしくなりそうだった。
「相当、病んでるね。頼むから美咲にピアス以外の傷は付けないでね」
隆太は苦笑いを浮かべた。
「所詮、人間の気持ちなんて目に見えないんだから１００％完全に満たされるなんて事はないんじゃない？そんなに悩まなくても俺は良いと思うけどね」
いつになく隆太が優しい男に思えてしまった。