ソレデモワタシハアナタヲアイス
けれどそれもまあ良いのかもしれないと思った。
美咲が今だに告白されていると知って、きっと空人は美咲に他の男が寄り付かないよう、2人の関係を公表したいだろうし、そもそもおおっぴらにしていないのは、ただ単に美咲が恥ずかしがっているからという幼稚な理由だった。
それになんとなく最近、空人の様子がおかしい。
急に美咲にピアスを開けさせたり、順調かと思えばさっきのように結果が見えている誘いをしてケンカをしたり。
客観的に見て以前のような余裕は無い気がする。
私と隆太はそんな危機感を覚えて2人から目を離せないでいた。
「あのね、私達この前見たんだけど…」
寄って来た1人がソロソロと口を開いた。
「本郷さん、他校生の男子と親しそうに映画館に入って行ったんだよね。てっきりカレシかと思ってたんだけど…」
私と隆太は絶句した。
―――美咲が他校生とデート?―――
そんな事、あるはずがない。
他校生の男子に仲の良い友人が居るだなんて聞いた事がなかった。
「そ、それって本当に美咲?」
さすがの隆太も動揺している様子だった。
「う、うん。本郷さんを見間違うなんて事ないし…」
確かに美咲みたいな人間が複数居たらちょっと嫌だ。
―――まさか美咲が…―――
私と隆太は今度は浮上した美咲の浮気疑惑に対応しなくてはならなくなった。
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