ソレデモワタシハアナタヲアイス
「外練って校庭走ったりでしょ?私にそんなの必要ないし。それに今日は本当に用事あるから無理」
美咲はカバンを持ってさっさと帰ろうとしている。
「なんだよ、用事って?」
空人はまだ引き下がらない。
「ちょっとね。じゃ」
美咲は少しよそよそしい態度で教室を足早に出て行った。
―――なんか…おかしい…―――
目を合わせた隆太も第六感が働いたらしく小さく頷いた。
「なんだよ、やっとやる気になったと思ったのに」
空人はつまんなさそうに美咲を見送った。
「じゃ、私も帰ろうっと」
美咲とあまり距離を広げておくのは避けたかった私は、急いで帰り支度をした。
「何?真由子も帰んの?練習は?」
空人は不服そうな顔をした。
「当日、出て勝てば良いんでしょ?じゃあね」
美咲のマネをして教室を出る私に空人が何かを言っているような気がしたけれど、とりあえずシカトをして美咲の後を追った。
きっと今日は何かある。
美咲が浮気をするだなんてとても考えられない事だけれど、さっきのあの様子はなんとなくおかしい。
どちらかというと美咲はウソがつけないタチで隠し事をしたとしても全て顔に出てしまう。
空人が見逃したとしても私と隆太は美咲の不自然さに気付いていた。
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