ソレデモワタシハアナタヲアイス
「だからってなんで俺達がこんな事しないといけないワケ?」
私からの呼び出しによって後から合流した隆太がうんざりした顔で言った。
「美咲の事、心配じゃないの?良いから後つけるよ」
隆太をなだめながら私は遠くに居る美咲から目を離さなかった。
美咲は真っ直ぐ帰る様子もなく街中で雑貨屋や本屋に入ってブラブラしている。
「いくら美咲の様子がおかしいからって今日、浮気するとは限んないじゃん」
そんな事を言いつつ隆太も美咲を観察し始めた。
「良いから確かめるのよ!それに今の空人が知ったら絶対ヤバイでしょ?」
この理由が1番だった。
今の空人が知ったら美咲に何をしでかすか予想が出来ない。
内心、私はハラハラしていた。
「あ、雨」
隆太の声に美咲から目を離して地面を見るとポツポツとコンクリートの色が変わり始めていた。
「もう帰んない?濡れるよ?」
隆太が折りたたみ傘を出して私の頭の上にかざした。
「帰んないよ。そんなに嫌なら隆太1人で帰って良いし」
美咲の事が心配でならない私は、自分の折りたたみ傘を出して隆太を睨んだ。
「はいはい。付き合いますよ」
隆太は溜め息をひとつついて自分の傘を私から自分の頭の上に移動した。
なんだかんだ言いながらも美咲が心配なのか、隆太は帰ろうとしなかった。
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