ソレデモワタシハアナタヲアイス

「あ、誰か来たよ」
本屋で雑誌を立ち読みしている美咲を隆太が指差した。
見ると制服のブレザーの下に着たパーカーのフードをかぶった他校生の男子が美咲に話し掛けている。
―――誰よ、アレ？ナンパ？―――
なんて私の願いもむなしく美咲は普通に会話をしている様子だった。
「あれ？あの他校生、なんかどっかで見た事あるような…」
隆太が思い出そうとしながら相手の他校生に目を凝らした。
「え！誰アイツ？知り合い？」
勢いで隆太の胸元を掴んでしまったけれど、隆太は動じる事もなく唸りながら記憶を探っている。
「うぅ～ん、フードかぶってるからちゃんと顔、見えないんだよね」
確かに相手の顔はフードをかぶっているせいでよく見えない。
「まあ、あの制服からして相手は俺らより２、３レベル低い学校の生徒って事は分かったけど」
隆太は冷静に相手のリサーチを続けていた。
とりあえず今、分かった事は私の知り合いではない他校生の男子と美咲が知り合いらしいという事だった。