ソレデモワタシハアナタヲアイス
海人の事情
「ちょっと待ってよ!海人!」
しつこくミカが後を追って来た。
「うるせぇーな!ついて来んなって!」
さっきからこの繰り返しだ。
ミカとは先月、別れたばかりだった。
そもそも別れようと言って来たのはミカの方で、俺はそれを渋々受け入れていた。
事実上、俺はフラれたワケだ。
それなのに今更になってミカはヨリを戻したいとしつこく付きまとって来る。
はっきり言って迷惑だ。
運悪く同じ高校に入学してしまった為に、こうやって学校でも下校中でもミカは容赦なく追い掛けて来ていた。
「おまえ、いい加減にしろよ!俺はもうヤだからな!」
さっさとミカをまいて帰りたい。
イライラしながら駅に着くと改札口前の柱の影から出て来た人と俺はぶつかってしまった。
< 172 / 435 >

この作品をシェア

pagetop