ソレデモワタシハアナタヲアイス
始まり
「何なんだよ!おまえら!」
ホームルーム前の教室で、俺は叫んでいた。
けれど、これは仕方がない事だと思う。
高校に入学してから約2週間。
登校早々に目にしたものは、数日前に行われた実力テストの結果だった。
とはいえ、生徒全員の順位が発表されたわけではない。
上位30位までが、廊下に張り出されていた。
人の山をかきわけてやっと見えたものは、1位本郷美咲、2位佐々木真由子、3位高橋隆太、という恐ろしい現実だった。
無理だ無理だと散々バカにされ、それでも必死になって勉強をして、どうにか入学出来た俺の名前は、予想通りそこには存在していなかった。
「何が?」
トップ3は、朝から優雅にポーカーをしながら、俺の問いかけには心当たりがまったく無いというように声を揃えた。
「テストの結果だよ!この前の実力の!廊下に張ってあっただろう?」
熱くなる俺の理由が分かった途端、トップ3の視線はそれぞれのトランプに戻された。
「それが何?」
「あんまり難しくなかったよねぇ~。基本的な事ばっかりだったし」
「まあ、入学してすぐのテストだからあんなもんじゃない?」
トップ3は、1位から順序良く俺にトドメを刺した。
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