ソレデモワタシハアナタヲアイス
「私、親が稼いだ金で買ったプレゼントは受け取らない主義なの」
真由子にどうぞと言われた美咲がお馴染みの台詞を決めてみせた。
「だから俺も真由子も美咲に何もあげられないんだよね。バイトしてないから」
真由子がそうなんだよねと頷いた。
「なんだ、そういう事かよ」
緊張が取れた空人は一気に息を吐き出した。
「え?じゃ、何すんだよ?明後日」
理解した上で改めて空人は疑問を口にした。
「去年と同じでカラオケで騒ぐ感じで良いんじゃない?お金あんまりかかんないし。私、割引券、持ってるし」
真由子はカバンからサイフを取り出した。
「去年と同じって俺、知らないんだけど…」
真由子の動作を見つめながら空人がポカンとした。
「カラオケ行く?って誘ったのに部活だって言って来なかったんじゃん」
俺は1年前の事実を伝えた。
「美咲の誕生日だって言ってないだろ!」
空人は1年前の真実で反論した。
「じゃ、ま、とにかくカラオケの予定にしちゃお!空人は来れる?」
空人をイジる事に飽きを感じたのか真由子が締めに入った。
「行く!っていうか絶対、行くし!」
空人の絶対宣言に美咲が微かに笑ったように見えた。
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