ソレデモワタシハアナタヲアイス
が、数分後、俺はまた叫んでいた。
「ズリィだろ!」
俺の考えが甘かった。
美咲はずっと無表情、真由子はずっと笑顔、隆太はずっと透かした目と平常心で、完璧にポーカー最適人種。
太刀打ち出来るわけがなかった。
「もうヤダ…おまえらと友達やめる」
自分の無力さと相手の有力さに、俺はガックリと肩を落とした。
「たかがポーカーで何言ってんの?」
美咲が少しバカにしたように口元を緩めた。
時間は本当に大切だと思う。
初めて会った時の美咲は、目を合わす事も言葉を交わす事も容易ではなかった。
人見知りの人間というのは、こんなにも態度が悪いのかとカルチャーショックを受けてから約2週間。
俺が美咲の無愛想に慣れたのか、美咲が俺に慣れたのかはよく分からないけれど、確実に美咲の表情は柔らかくなっている。
俺は、美咲をキッと睨んでやった。
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