ソレデモワタシハアナタヲアイス
「美咲はもちろん私と一緒にバスケだからね」
ひとまず教壇から戻った真由子が念の為にくぎを刺した。
「分かってる。っていうかバスケ以外なら出ないから」
美咲は無表情だった。
つまり嫌々参加を申し出たワケではないという事らしい。
―――これも空人効果?―――
今の美咲は、俺には全く読めない人間になっていた。
「真由子!俺、バスケに移動!」
交渉が上手くいったらしく空人が満面の笑みで戻って来た。
「はいはい、今書くから。誰と交換したの?」
真由子は再び立ち上がって、空人と一緒に教壇に置いてあるプリントに向かった。
「3人バスケなら俺もバスケにしよっかな?」
俺はなんとなく去年のバスケメンバーに目を配った。
「良いじゃん。交渉して来たら?得意でしょ?相手翻弄すんの」
一体、俺の事をどう思っているのか美咲はニヤついてみせた。
「翻弄って…それは美咲の得意分野でしょ?絶対バスケ向きのイイ性格だよね」
仕返しのつもりでせっかく言ったのに、美咲は鼻で軽く笑っただけだった。
結局、美咲のお墨付きをもらった俺も去年のバレーからバスケに移動して、球技大会は美咲の宣言通り、バスケのペア優勝という結果に落ち着いた。
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