ソレデモワタシハアナタヲアイス
あまりの悔しさにもう1ゲーム挑もうとトランプを集めていると、ホームルームの開始を告げるチャイムが鳴った。
「いや~、先生は鼻が高いぞ。このクラスからトップ3が出るとはな」
どこか気の抜けてしまう担任は、朝から満面の笑みを浮かべていた。
「とりあえず点数だけだけど、結果渡すから。出席番号順に取りに来てくれ」
新しい友情が芽生えた教室では、普通の高校生らしいリアクションが、各所でおこった。
―――ヤバイ…―――
ある程度の予想はしていたものの、少し想定外の結果を渡され、俺の頭の中からは、さっき負けたポーカーの悔しさは消えていた。
恐ろしく低い点数が並べられたテスト結果表からトップ3に目を向けると、3人はおしみなく冷静にお互いの結果を見せ合いながら小会議を開いている。
「やっぱ美咲は英語強いね。隆太は数学?」
「うん。残念ながら100点じゃないんだけど。真由子は国語?」
「国語は真由子に勝てないな、私。古典ダメだからマイナスされるのが大きいんだよね」
俺は自分のテスト結果表をにぎりしめながら、トップ3の会議を覗いた。
そこで明らかにされていたものは、英語の1位が美咲、国語の1位が真由子、数学の1位が隆太、というキラびやか世界だった。
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