ソレデモワタシハアナタヲアイス
形ある4色
「うわっ!何コレ!昨日、暗かったから分かんなかったし!」
修学旅行2日目の朝、着替えるだけ着替えてベランダに出た美咲が慌てて部屋に戻って来た。
「何?どうしたの?」
デジカメを手にした美咲を追って私もベランダに出てみた。
「うわぁ!すっごい青!」
目覚めてからあまり時間の経っていない私の目には、ブルーのコントラストを描く海とそこで水遊びをする同級生達が飛び込んで来た。
「そっか、昨日は日が落ちてからホテル入ったから気付かなかったんだね」
私は手すりにもたれて、見る事が出来る範囲全てを見渡した。
「ベランダ出るだけでこんなの見れるなんてこのホテルどうなってんの!?」
美咲は興奮しながら写真を撮っている。
私はその横で水遊びをしている同級生達に目を凝らした。
「あ、美咲、空人居るよ」
毎年の視力検査で良い成績を残している私は、ジーンズをヒザの上までまくって海に入って遊んでいる空人を簡単に見付ける事が出来た。
「…昨日、痛い目見たくせに朝からあのテンションって…」
デジカメのズーム機能で空人を確認した美咲は、呆れた顔をした。
「あれ?隆太は居ないね」
裸眼のまま私は空人の周辺に目を配った。
「まだ部屋じゃない?隆太、低血そうだし。ソラのプログラムに乗ったらこっちが痛い目見るから」
美咲はまたデジカメをいろいろな方向に向けて撮影を再開した。
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