ソレデモワタシハアナタヲアイス
電波の届くエリア
「なぁ、サキ、やっぱ今年も向こう行くのかよ?クリスマスくらいこっちに居らんねぇの?」
「…良いよ。カウントダウンは向こうだけど」
少し考えてからサキは無表情のまま答えた。
「え!?じゃ、皆でパーティーしようよ!」
真由子が嬉しそうに早速企画を練り始めた。
「真由子、俺に気遣って2人にしてくれるって考えはないのかよ?」
真由子は隆太と顔を見合わせてそんな事をするワケないじゃんと笑い飛ばした。
正直なところを言えばやっぱり2人で居たいけれど、きっとサキも真由子や隆太と一緒の方が良いに違いない。
俺は大人しく真由子の提案に従う事にした。
「って今からバイトしても間に合わねぇじゃん!」
次に俺が考えた事はプレゼントだった。
きっと今年も去年のように日本に居ない宣言をされると諦めながら聞いた俺は、冬休み直前だと言うのにバイトをしていなかった。
「プレゼントとかいらないから。私も用意しないし」
サキの主義は半年前の誕生日の時となんら変わりはなかった。
「サキ、おまえ、こっち居れんなら早く言えって」
イベントだというのにまたもやプレゼントを用意出来ない俺に、サキはシレッとした顔をした。
「ねぇねぇ、何する?美咲がクリスマスにこっち居るの初めてだから思いっきり遊ぼうよ!」
真由子は本当に楽しみらしくかなりテンションを上げている。
「なんならウチでオールする?親は先に向こう行くはずだから誰も居ないし。デリバリー頼めば楽で良いでしょ?」
大人の監視下ではないサキ家のパーティーに、俺達は迷う事なく賛成した。
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