ソレデモワタシハアナタヲアイス
「いつ向こうに行くんだっけ?」
静かになったリビングで、俺はサキの隣に座った。
「明後日。っていうかもう日付変わってるから明日?帰ったら用意しないと」
サキは面倒臭そうな顔をした。
「いつ帰って来んの?」
「冬休み終わるギリ前の予定」
「そっか…」
静か過ぎて時計の針の動く音が聞こえる。
けれど、今の俺にとってサキと一緒の空間での沈黙は、決して苦しいものではなかった。
何もしゃべらなくてもただ隣に居られれば心地良い。
サキもそうなのかは分からないけれど、俺達はしばらくの間、ただ黙って空(くう)を見つめた。
「ソラのお父さんってクリスマスも仕事?」
静かに沈黙を破ったのはサキだった。
「うん。でも年末年始は帰って来るはずだよ。いつもそうだから」
うちの父さんが単身赴任をしている事をサキは知っている。
「毎日、会えないの淋しくない?」
サキは俺の顔を覗き込んだ。
「もう慣れっこだって。逆に帰って来た時の方が変な感じするし」
軽く笑ってみせた俺に、サキは苦笑を返してまた空(くう)を捉えた。
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