ソレデモワタシハアナタヲアイス
「決めたのかよ?」
俺は曇った表情をするサキの横顔を見つめた。
「ううん。まだ悩んでる」
サキは視線を自分のヒザに落として小さく溜め息をついた。
「そっか…」
俺はサキから目を離してまた空(くう)を見つめた。
「俺さ、プレゼントあったんだ」
こういう状況で言うつもりはなかったけれど、俺はあえて今を選んだ。
「は?何言ってんの?親の稼いだ金で買った物なんて要らない…」
案の定、一気に不機嫌になったサキの目の前に、俺はポケットに入れていたある物を突き出した。
「…何?携帯…?」
サキは一瞬、驚いた表情をしたけれど、それが携帯だと分かると不思議そうな顔で俺を見返した。
「そ、新しくしたんだよ。しかも最新モデル。機種変して来たばっか」
新しい携帯を自慢する俺に、サキは話しが見えないらしく何の反応もない。
「だから明後日からも連絡、取れるって事だよ。ってもう日付変わってるから明日からか」
この時間帯の日程を絡めた話しは分かり辛い。
さっきのサキと同じ台詞を言ってしまった俺に、サキはまだポカンとしていた。
< 252 / 435 >

この作品をシェア

pagetop