ソレデモワタシハアナタヲアイス
真由子の事情
「あ、モーゼ復活」
隆太が面白そうに教室の窓から身を乗り出した。
「そんなにサキ見て何が面白いんだよ?」
つられて窓の外を見下ろした空人は、正直に面白くない顔をしている。
「アレで本人、全然気付いてないのが凄いよね。美咲らしいっていうか」
もちろん私はモーゼの奇跡もどきを披露する美咲を隆太と同様に面白く見物した。
私達は高校に入ってから3度目の春を迎えていた。
相変わらずの美咲は新入生の注目をひたすらに集めながらもやっぱりこの状況にまってくもって気付いていなかった。
「心配?」
隆太が空人をからかい始めた。
「全然」
本当に機嫌を悪くしたのか、美咲が校舎に入ったのを見届けた空人は、無表情で席についた。
「これじゃ、大学入ってからも大変だよね?ま、俺が一緒に居れば大丈夫かな?」
「…」
まだ笑みを浮かべている隆太に、空人は机にうなだれたまま何も返さなかった。
隆太が面白そうに教室の窓から身を乗り出した。
「そんなにサキ見て何が面白いんだよ?」
つられて窓の外を見下ろした空人は、正直に面白くない顔をしている。
「アレで本人、全然気付いてないのが凄いよね。美咲らしいっていうか」
もちろん私はモーゼの奇跡もどきを披露する美咲を隆太と同様に面白く見物した。
私達は高校に入ってから3度目の春を迎えていた。
相変わらずの美咲は新入生の注目をひたすらに集めながらもやっぱりこの状況にまってくもって気付いていなかった。
「心配?」
隆太が空人をからかい始めた。
「全然」
本当に機嫌を悪くしたのか、美咲が校舎に入ったのを見届けた空人は、無表情で席についた。
「これじゃ、大学入ってからも大変だよね?ま、俺が一緒に居れば大丈夫かな?」
「…」
まだ笑みを浮かべている隆太に、空人は机にうなだれたまま何も返さなかった。