ソレデモワタシハアナタヲアイス
「美咲、コレかわいくない?」
「趣味じゃない」
私が指差す物から美咲は容赦なくそっぽを向いた。
―――趣味が合ったら合ったでそれもなんか嫌だけど―――
ポップでカラフルな物が好きな私と、シンプルなモノトーンが好きな美咲は、本当に正反対だった。
「あ、コレかわいい」
私はフルーツのモチーフが付いた指輪を手に取った。
「真由子っぽいじゃん」
試しにはめてみた私の手を美咲は覗き込んだ。
「ねぇねぇ、美咲だったらどれが好き?」
私は指輪を外しながら他のデザインの物に目を向けた。
「そうだな…コレとか?でも私、あんまりアクセ付けないし」
美咲は何の飾りも無いシンプルな銀色の指輪を指差した。
「ああ、分かるかも、美咲っぽいよね。手貸してよ」
私は美咲の左手を取ってとりあえず自分と同じサイズを薬指にはめてみた。
「結婚式ごっこ。なんちゃって」
左手の薬指にはめられた事をあまり気にしていない様子の美咲に、私はフォローがてらふざけた。
< 258 / 435 >

この作品をシェア

pagetop