ソレデモワタシハアナタヲアイス
止まない雨音
「ん~」
湯船に入ると同時に、ついつい気の抜けた声が出てしまう。
―――雨って憂鬱―――
今度は溜め息が出た。
ソラから逃げて真由子と学校を後にしてから、私達はダラダラと映画を観て、お茶をしてから帰宅した。
その間も雨が弱まる事はなく、湿気で広がった髪とベタつく肌が許せなかった私は、帰るなりお風呂場に直行した。
―――ソラは今日もバイトか―――
すっかり雨にやられた私は、いつもよりゆっくり湯船に浸かっていた。
―――明日くらいは練習出よっかな?でも雨だったら嫌だし…―――
声に出さない独り言をいくつも繰り返してから、私はお風呂場を出た。
さっきまでのベタつきをキレイに洗い流した肌に、部屋着が気持ち良かった。
廊下を歩くと、リビングからはお父さんとお母さんが見ているであろうテレビの音が、雨音に掻き消されながらも僅かに耳に届く。
私は、ポンチョのように肩に巻いたタオルで、濡れた頭を拭きながら、2階の自分の部屋に向かった。
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