ソレデモワタシハアナタヲアイス

「もしも…」
「真由子、今、美咲と一緒？」
美咲と違ってすぐに電話に出た真由子に、俺は早口で聞いた。
「な、何？美咲ならとっくに帰ってるよ？どうしたの？」
俺の慌てぶりに、真由子が驚いているのが分かる。
俺は、まだ自分でも信じられない空人の死を、真由子に伝えた。
「え？…何…それ？」
一瞬で、真由子の声が変わった。
「とにかく俺、今から美咲ん家、行くから…」
「私も行く！」
おいてきぼりをくらうのを嫌がる子供のように、真由子は声を上げた。
「病院…行くんでしょ？私も…一緒に行くから…」
真由子は、もう泣いているようだった。
俺は、真由子に迎えに行くまで家で待つように言い聞かせてから電話を切った。