ソレデモワタシハアナタヲアイス
「バイトの帰りに…歩いていたら…雨でスリップした車が…空人に突っ込んで…」
情けない事に、込み上げるもので、声が詰まってしまう。
俺は、美咲のお母さんから目をそらした。
「美咲…」
美咲のお母さんは、誰も居ない階段の上に目を向けた。
「兄が車、出してくれたんで、これから病院に行って来ます。すみません。急に来てこんな話しで…」
俺は頭を下げた。
「ううん。わざわざごめんなさいね。逆に面倒かけちゃって…」
美咲のお母さんは、もう冷静な顔をしていた。
俺は、もう一度、頭を下げてから車に戻った。
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