ソレデモワタシハアナタヲアイス
伝う雫
車内の沈黙が、雨音を一層、引き立たせていた。
ワイパーで掃いても掃いても、視界はすぐにぼやける。
俺は、後部座席を振り返って見た。
美咲は乗り込んだ時のままの姿勢で、窓の外をぼんやりと見つめている。
真由子は、そんな美咲から目を離さずに寄り添っていた。
「もう着くぞ」
兄貴の声に、俺は体勢を戻した。
雨粒でぼやけた窓に、病院の白い明かりが見える。
兄貴は少しでも雨に濡れないようにと、時間外入口の真ん前に車を停めてくれた。
「着いたよ」
シートベルトを外して振り返る俺の声に、美咲が体を強張らせた。
これから俺達は、自分の目で現実を見る事になる。
俺は、今更、美咲の意思も聞かずにここに連れて来た事が、正しかったのか分からなくなった。
けれど、もう引き返せない。
俺は、一足先に時間外入口から入って、警備員室の窓を叩いた。
ワイパーで掃いても掃いても、視界はすぐにぼやける。
俺は、後部座席を振り返って見た。
美咲は乗り込んだ時のままの姿勢で、窓の外をぼんやりと見つめている。
真由子は、そんな美咲から目を離さずに寄り添っていた。
「もう着くぞ」
兄貴の声に、俺は体勢を戻した。
雨粒でぼやけた窓に、病院の白い明かりが見える。
兄貴は少しでも雨に濡れないようにと、時間外入口の真ん前に車を停めてくれた。
「着いたよ」
シートベルトを外して振り返る俺の声に、美咲が体を強張らせた。
これから俺達は、自分の目で現実を見る事になる。
俺は、今更、美咲の意思も聞かずにここに連れて来た事が、正しかったのか分からなくなった。
けれど、もう引き返せない。
俺は、一足先に時間外入口から入って、警備員室の窓を叩いた。