ソレデモワタシハアナタヲアイス

「で、どの問題？」
美咲に圧倒されながらも空人は真剣にテキストに向き合った。
「なぁ、何で美咲はそんなに英語得意なワケ？日本語出来れば生きてけるじゃん？」
空人が顔を上げずに質問した。
「私、ハーフなの。だから」
「え！マジで？」
意外な返答に空人は驚いて顔を上げた。
「ウソ」
そんな空人に、美咲はアッサリと二言目をつきつけた。
「なんだよ！ちょっと信じてビックリしたじゃん！」
すっかり一瞬ダマされた空人は、文句を言いながら再びテキストとにらめっこを始めた。
「本当はクォーター。親がハーフ」
空人がまた驚いて勢い良く顔を上げた。
「ってそれもウソだけど」
コメントする余地もなくまたもや美咲に突き落とされた空人は、不服そうにシャーペンを持つ手をまた動かした。
「おまえ、俺の事バカにしてんだろ？」
空人は明らかに機嫌の悪そうな声で静かに抗議をした。
「そう思う？」
美咲はいたずらが上手くいった子供のようにニンマリとしている。