ソレデモワタシハアナタヲアイス
「でもね、美咲ちゃん、まだ高校生なんだから、今、こんな重いものを背負う必要はないの」
おばさんの後ろでは、空人のお父さんと海人が、同じ思いだという顔で美咲を見つめている。
「ね?気持ちだけで嬉しいから顔上げ…」
「私は」
なだめるおばさんを途中に、美咲がスッと顔を上げた。
「私は、背負おうなんて思ってません。私は、これからまだ生きてかなきゃならないんです」
美咲は、おばさんを真っ直ぐ見返した。
「だからちゃんとしたいんです。私はソラと出会って、ソラと一緒に過ごしました。たった2年間だったけど…」
凛としていた美咲の表情が崩れ始めた。
「私…そんなに器用じゃないんです…だから…ソラと一緒に居た私にも…区切りをつけたいんです…」
美咲の目から、とうとう涙が溢れた。
「お願いします」
美咲は、また深く頭を下げた。
あのプライドの高い美咲が、多くの参列者が注目する中、感情を剥き出しにしている。
「美咲ぃ…」
感情移入した真由子が、更に涙を流して声を詰まらせた。
「美咲、戻ろう」
さすがに、こんな美咲を見ていられなくなった俺は、美咲の肩を掴んで顔を上げさせようとした。
< 286 / 435 >

この作品をシェア

pagetop