ソレデモワタシハアナタヲアイス
学校の帰り、美咲は突然ピアスホールを増やしたいと言い出した。
そして雑貨屋に入って、一気に3つのピアッサーを手にレジに向かった。
俺と真由子は、美咲の突然の行動をただ黙って見守る事しか出来なかった。
「なんでいきなりピアス増やそうなんて思ったの?」
美咲は、俺の問い掛けには答えず、耳に触れる真由子の手に集中しているようだった。
「冷やす?真っ赤だけど…」
無事、左右の耳に新たな3つのピアスホールを開け終わった真由子は、辛そうに美咲を見た。
「大丈夫。有難う」
美咲は、鏡で合計5つになった左右のピアスを見てから、使い終わったピアッサーをごみ箱に投げ入れた。
「なんか疲れた…」
そう言うと、美咲はボスッとベッドに倒れ込んだ。
そしてそのまま動かなくなった。
「美咲?」
真由子が美咲に駆け寄る。
それは、1分も経たない間の出来事だった。
「寝てる」
美咲の寝息を確認した真由子は、溜め息をつきながら振り返った。
「たぶん昨日、寝てないんでしょ?」
俺は、暴走の止まった美咲に少しホッとした。
「どうしよう、隆太…美咲、絶対おかしいって」
真由子が頭を抱えた。
美咲もだけれど、真由子にも相当の疲れが出ている。
「帰ろうか?」
俺は、眠った美咲を美咲のお母さんに任せて、真由子を連れ出した。
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