ソレデモワタシハアナタヲアイス
出来ない理由
「そういう事ね。だから2人共、空人の家に居たのに会わなかったってわけか。やっとさっき先生が言った意味が分かったよ」
隆太が納得した顔で頷いた。
「俺も最初の2~3年は美咲が来てるだなんて知らなくてな。来客が居るわけでもないのに、玄関に若い女性物の靴があるのが妙に気になってて、聞いてみたら美咲が来てるって言うから本当に驚いたよ。そういやお墓には毎年、黄色い花も飾ってあったし」
先生は、ジョッキのビールを飲みながら豪快に笑った。
―――いや、むしろビックリしたのはこっちだから―――
ついさっきまで何も知らずにいた私は、目を細めて先生を見た。
「古葉ちゃん、なんで美咲が居るの知ってて会わなかったの?」
真由子が虚ろな目で聞いた。
「なんでだろうな。でも今日、こうやって会えたから良いんじゃないか?」
先生は、飲みきらないジョッキを手に、また別の席へと逃げて行った。
「何よぉ~。全然、古葉ちゃんと話し出来ないじゃん」
真由子は、ふてくされていた。
―――先生、気遣ってくれてたんだ―――
私は、あの頼りない先生の思いやりに初めて気付いた。
隆太が納得した顔で頷いた。
「俺も最初の2~3年は美咲が来てるだなんて知らなくてな。来客が居るわけでもないのに、玄関に若い女性物の靴があるのが妙に気になってて、聞いてみたら美咲が来てるって言うから本当に驚いたよ。そういやお墓には毎年、黄色い花も飾ってあったし」
先生は、ジョッキのビールを飲みながら豪快に笑った。
―――いや、むしろビックリしたのはこっちだから―――
ついさっきまで何も知らずにいた私は、目を細めて先生を見た。
「古葉ちゃん、なんで美咲が居るの知ってて会わなかったの?」
真由子が虚ろな目で聞いた。
「なんでだろうな。でも今日、こうやって会えたから良いんじゃないか?」
先生は、飲みきらないジョッキを手に、また別の席へと逃げて行った。
「何よぉ~。全然、古葉ちゃんと話し出来ないじゃん」
真由子は、ふてくされていた。
―――先生、気遣ってくれてたんだ―――
私は、あの頼りない先生の思いやりに初めて気付いた。