ソレデモワタシハアナタヲアイス
―――なんか同類っぽくて嫌だなぁ―――
この手の応対に関しては、俺も決して不得意ではない。
負けずにこっちも自己紹介をしてやろうと、俺は口角を引き上げた。
けれど、タイミング良く鳴り出したデジタル音に、無惨にも止められてしまった。
「あ、ごめん。ちょっと待って」
呼び出し音を発する携帯を手にした美咲は、何故か俺達2人にそう告げて、その場を離れた。
「もしもし。お疲れ様です」
どうやら仕事の電話らしい。
美咲は仕事用なのか、キリッとした顔付きになって話しをしている。
「で、きみは美咲の今のカレシ?」
大人の態度を取るつもりだった事をすっかり忘れていた俺は、美咲から美咲の元カレに視線を戻した。
「申し遅れました。高橋です。ちなみにカレシじゃありません。中高の同級生です」
俺は、負けずに笑顔を作って頭を下げた。
「へぇ、美咲の同級生なんだ?じゃ、俺の方が年上かぁ。高橋くん、落ち着いてるから同じくらいかと思ったよ」
一体、相手が何歳なのかは知らないけれど、俺は美咲が付き合った事のある人間というのに興味が湧いた。
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