ソレデモワタシハアナタヲアイス
最初、俺はただ単に美咲に対抗心を燃やしていた。
俺は、全てにおいて、成績も運動も誰かに負けるつもりはなかった。
けれど、中学校に入ってみると俺よりもずっと高い所に美咲という人物が居た。
美咲は、俺のプライドを初めて傷付けた人間だった。
俺が頑張って手に入れようとしているものを、美咲はアッサリと手にしてしまう。
そんな美咲に、俺はいつも敗北感を抱いていた。
正直、どうにかして美咲を負かせてやりたいと思った時もあった。
けれど、あの頃の美咲は、俺の事を友達ともライバルとも思っていなかった。
美咲の中で、俺は親友の友人というだけの存在だった。
真由子だけが、美咲にとって唯一の友達だった。
美咲と真由子は、誰が見てもお互いに認め合っている理想的な親友の図を作っていた。
美咲の目には真由子が、真由子の目には美咲が、いつも映っていた。
俺は、そんな2人を見ていて、いつしかその関係を羨ましいと思うようになった。
もちろん、美咲に対等な人間として認めて欲しいというのが始まりだった。
けれど、毎日2人を見ているうちに、俺は真由子以上に美咲の目に映りたいと思うようになった。
俺が美咲に抱いた対抗心は、気付いた時には、違うものに変わっていた。
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