ソレデモワタシハアナタヲアイス
「こんなんだったり、こんなんじゃなかったりだけど何?」
そろそろ部活の疲れも癒えてきた俺は、夏休み1発目、とうとう美咲に噛み付く事にした。
「おまえもうちょい言い方どうにかしろよ!会話になんないだろう!?」
俺が怒りをあらわにしたところで、例の如く美咲が動じる事はなかった。
「聞かれた事に答えただけでしょ?何熱くなってんの?」
美咲はいつも通りニヤッとした顔になる。
それを見て俺はますますイライラを募らせた。
負けると分かっていても男として黙ってバカにされるつもりはない。
熱くなる俺と冷静にも楽しそうな美咲のやり取りに、また始まったというような呆れ顔で隆太と真由子が溜め息をついた。
「ほら2人共、もうそのくらいにして。あ、アイス食べない?花火始まる前に買ってくるよ。何が良い?」
真由子の言葉に今日の目的を思い出した。
今日は真由子の提案で、花火を見る為に集まっていた。
俺と隆太の部活が終わる時間に、美咲と真由子が学校まで来て、4人揃ってから見に行こうという計画だ。
俺達の地元の花火大会は、けっこう有名で毎年県外から見に来る人も居る。
見物客の為に、道路は通行止めになり、一切車が通る事のない車道でゆったり花火を見上げる事が出来る。
俺達は、その安全を確保された車道に立って、打ち上がる花火を待っていた。
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