ソレデモワタシハアナタヲアイス
―――どうしよう…何しゃべったら良いんだろう…―――
学校を出てから一言も言葉を発しない美咲を隣に、私はただ一緒に歩く事しか出来なかった。
―――なんで同い年なのに美咲ちゃんってこんなに偉そうなの?っていうかなんで私こんなに緊張しなきゃなんないの?何かしゃべんないと…って何しゃべったら良いの?趣味は何とか?昨日のテレビ見た?とか?…―――
今までかつて味わった事のない沈黙の下校を打ち砕こうと、私は気合を入れた。
「じゃ、私こっちだから」
そんな私の努力が報われる事はなく、美咲は分かれ道で立ち止まった。
「あ、美咲ちゃん家、そっちなんだ?…じゃ、またね」
結局、何もしゃべる事のないまま、私達はそれぞれの家の方向に足を向けた。
―――何にもしゃべれなかった…どうしよう…自分から一緒に帰ろうって言ったくせに…それに明日、学校行きたくないなぁ…―――
私は、溜め息をついてダラダラと歩き出した。
< 362 / 435 >

この作品をシェア

pagetop