ソレデモワタシハアナタヲアイス
「あ、そうだ」
俺は、ある事を思い出して美咲から腕を離した。
「何?」
美咲は、少しだけ俺に振り返った。
けれど、その目は俺の行動に興味を持っているという雰囲気ではなかった。
「合カギ、渡そうと思ってたんだよね」
俺は、作っておいたこの部屋のカギを取る為に、ベッドから出ようとした。
「いらない」
けれど、また背中を向けた美咲の一言に、阻止されてしまった。
「持ってた方が良いでしょ?」
俺は、美咲の背中に聞いた。
「誰も居ないこの部屋で私にどうしろって言うの?」
美咲の声が冷たい。
向こうを向いている美咲が、一体、今どんな顔をしているのか、俺にはなんとなく予想が出来た。
「そう」
俺は、またベッドに横になって、微かな呼吸を確かめる為に、美咲を抱きしめた。
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