ソレデモワタシハアナタヲアイス
「高橋、サッカー集合だってさ」
俺と一緒にサッカーにエントリーしていた佐藤が、立ち上がった。
「リュウ、やっぱサッカーに出るんだ?」
なんだか美咲が嬉しそうな顔をしている。
「うん。って言うか若者は全種目強制参加だからね」
サッカーは良いとして、その他の競技を思うと気分が乗らないのが、俺の正直なところだった。
「とか言ってどうせ全部アッサリ勝っちゃうんでしょ?」
日傘の中で真由子がニコニコしている。
俺は、美咲と真由子にヒラヒラと手を振って、佐藤と一緒にグラウンドに向かった。
「なぁなぁ、高橋のカノジョ、マジでキレイじゃん!どこで捕まえたんだよ?」
後ろの美咲をチラチラと気にしながら、佐藤のテンションは今日の天気以上だった。
「同級生だよ。もう中学からの付き合い。真由子は幼稚園からだから、美咲より長いんだけどね」
俺は、後ろに美咲が居る事を感じながら、振り返らないで集合場所に向かった。
「え?同級生ってあの人、俺達とタメなの?てっきり年上だと思って敬語でしゃべってたのに」
佐藤は、チラ見を止めて、しっかり振り返って美咲を見た。
「それ、本人に言わない方が良いよ。年上に見られるのたぶん嫌いだから」
俺は、振り返って佐藤に凝視されている美咲に手を振った。
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