ソレデモワタシハアナタヲアイス
「疲れた?」
佐藤の計らいで取り残された俺は、美咲の隣に座った。
「ううん。っていうかリュウ、まだあんなに走れたんだ?」
美咲は、今も健全な憎たらしい顔をした。
「サッカーはずっと続けてるって言ったでしょ?それより懐かしくない?球技大会」
俺は、挑戦するように美咲に笑顔を送った。
「佐藤さんってさ、似てるよね。口調とか、リアクションとか」
一瞬、真顔になった美咲が、俺の質問には答えずに、目をそらした。
「…誰に?」
答えは、はっきり分かっている。
いつも同じ事を自分自身も感じていた。
けれど、俺は美咲のキレイな横顔に答えを求めた。
「まんま海人くんじゃん。似てると思わない?」
美咲は、真相を見せない笑顔を見せた。
「海人ね。言われてみればそうかもね」
俺はそれ以上、核心には迫らなかった。
きっと美咲は、俺が何を思っているのか分かっている。
分かっていて、わざとこういう態度を取っているに違いない。
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