ソレデモワタシハアナタヲアイス
「玉入れって球技大会種目なんだ?」
お昼休憩を終えて始まった、子供も参加が出来る玉入れに、美咲は渇いた笑いを浮かべた。
「玉、使ってるんだから球技じゃないです」
怖いもの知らずの相沢さんが、チクリと美咲を攻撃した。
「ふぅーん」
美咲は、面白くない顔で相沢さんをチラリと見て、次々とかごに投げ込まれる赤と白の玉に視線を送った。
―――険悪…―――
美咲の事を敵と判断したらしく、相沢さんの美咲に対する態度は挑戦的だった。
もちろん負ける気のない美咲も、それなりの対応をしている。
「リュウ、全種目出るんじゃなかった?これは良いの?」
美咲は、少しイライラしている顔を俺に向けた。
「どう見たってファミリー向けの種目じゃないですか。高橋さんはちゃんとした競技にだけ出るんです」
俺が返事をする間もなく、相沢さんが口を挟んだ。
「あ、そう」
相沢さんを見る美咲の目が、明らかに違う。
―――美咲と会わせたのってもしかして逆効果?―――
自分が楽をする為だけの安易な行動に、俺は今更ながら後悔した。
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