ソレデモワタシハアナタヲアイス
「真由子、行くよ」
挑戦状を叩き付けられた美咲が、静かに立ち上がった。
「こんな事ならただのスニーカーじゃなくてバッシュ持ってくれば良かったじゃん。ね、リュウ」
美咲が何か言いたげに白い目で俺を見た。
「なんだ、じゃ私は美咲のフォロー役で今日呼ばれたわけなのね」
美咲に続いて立ち上がった真由子も、笑っていない目の笑顔を作った。
「そんなワケないでしょ?せっかくなんだからちゃんと参加した方が楽しいし、真由子だってなかなか会えないんだからこういう時にしっかり遊んでおこうよ」
俺は、2人の視線に負けないようにウソをついた。
―――失敗じゃん―――
俺は、溜め息をついた。
美咲を試すはずだったのに、結局、美咲はただ相沢さんの挑発に乗っただけだった。
せっかく俺が用意したこの状況を、ものの見事に壊してくれた何も知らない相沢さんを、俺は冷ややかな目で見た。
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