ソレデモワタシハアナタヲアイス
「うわ、懐かしい」
美咲が溜め息のように呟いた。
それは、修学旅行で行った沖縄で、4人で色違いで買った琉球ガラスのグラスだった。
「私、コレ割っちゃったんだよね。けっこう前に」
美咲は、立ち上がってダンボール箱から離れた。
「割れた時、ただのガラス玉でも凄いキレイで捨てようか少し悩んだし」
その時の事を思い出しているのか、美咲はダイニングチェアーに座って、俺がさっき淹れたコーヒーを飲みながら、遠い目をした。
「美咲、沖縄行こうか?」
俺は、ひとまずグラスをダンボール箱に戻して、美咲の向かいに座った。
「休み取って行こうよ。2人で」
美咲は、コーヒーに映る自分を見つめながら良いよと静かに答えた。
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