ソレデモワタシハアナタヲアイス
「でもここ、何にも見えなくない?」
俺は、美咲に並んで外の暗い景色を見回した。
「そうなんだよね。夜景でも撮ろうかと思って出てみたんだけど、残念」
海に近いわけではないこのホテルのベランダからは、美咲じゃなくてもわざわざ写真を撮ろうという意欲が湧かない環境だった。
「何にも無いからすぐに戻ろうとしてたら、急にリュウが出て来るからカメラ落とすとこだったじゃん」
美咲は、軽く俺を睨んで見せた。
「ごめんって。じゃ、何にも無いなら部屋入って明日の予定立てよう」
俺は、カメラを持った美咲の腕を掴んで部屋に入った。
―――ん?―――
美咲はいつだって正直だった。
ウソをつくとすぐに態度に出る。
けれど、そんな美咲でも唯一ウソをつく時があった。
―――何分居たんだろ?―――
すぐに部屋に入るつもりだったと言っていた美咲の腕は、夜風に当たってしっかり冷たくなっていた。
美咲がここで何を思って、何を撮っていたかなんて、俺は考えたくなかった。
俺は、美咲に並んで外の暗い景色を見回した。
「そうなんだよね。夜景でも撮ろうかと思って出てみたんだけど、残念」
海に近いわけではないこのホテルのベランダからは、美咲じゃなくてもわざわざ写真を撮ろうという意欲が湧かない環境だった。
「何にも無いからすぐに戻ろうとしてたら、急にリュウが出て来るからカメラ落とすとこだったじゃん」
美咲は、軽く俺を睨んで見せた。
「ごめんって。じゃ、何にも無いなら部屋入って明日の予定立てよう」
俺は、カメラを持った美咲の腕を掴んで部屋に入った。
―――ん?―――
美咲はいつだって正直だった。
ウソをつくとすぐに態度に出る。
けれど、そんな美咲でも唯一ウソをつく時があった。
―――何分居たんだろ?―――
すぐに部屋に入るつもりだったと言っていた美咲の腕は、夜風に当たってしっかり冷たくなっていた。
美咲がここで何を思って、何を撮っていたかなんて、俺は考えたくなかった。