ソレデモワタシハアナタヲアイス
「でも行けるだけ良いじゃん。私なんて病欠以外の休み方知らないし」
表情が見えない状況だというのに、真由子のコロコロ変わる声は、目の前に本人が居るような想像をさせる。
「そうだよね。なんて言ったって真由子は先生なんだから。私の仕事は私が休んでも誰かがやってくれるけど、『真由子先生』は1人しか居ないんだから。皆に大事にされてるって事だよ」
なんだか私は、無意識に真由子をなだめてしまった。
「何言ってんの?私にとっては美咲が大事な1人の人間だよ。代わりは居ないんだから。ま、それ言っちゃうと隆太もそうだけどさ」
真由子は私に気を遣ったのか、一応、リュウの大事さも言葉にした。
「どうしたの?真由子、ちょっとはリュウの事認めた?」
私は、ふざけた声にシフトした。
「認めたも何も美咲も隆太も友達なの。それは変わらないでしょ?一体何言わせんのよ」
真由子は、素直に照れたようだった。
私は、刻んで来たばかりの沖縄での思い出話しを大量に真由子に聞かせてから電話を切った。
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