ソレデモワタシハアナタヲアイス
「あーあ。やっぱもう始まってた?」
隆太もすぐ後ろから両手にアイスを持って戻って来た。
「遅かったんじゃない?」
真由子からアイスを受け取った美咲は見慣れた無表情に戻っていた。
「すっごい込んでるんだもん。人多過ぎ」
うんざりした様子の真由子に、美咲はお礼を言ってからアイスを頬張った。
「けっこうよく見えるね。俺、ちゃんと見に来たの初めて」
隆太が空を見上げたのにつられて俺達もアイスを食べながら顔を上げた。
様々な形や色が暗い空に映し出されていく。
「キレイ…」
小さく呟いた美咲の声を俺は聞き逃さなかった。
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