ソレデモワタシハアナタヲアイス

「忘れてた俺も悪いけど、言ってくれれば俺も一緒に行ったのに」
美咲は、まるで俺の存在を忘れているかのように、黙々と沸かしたお湯をコーヒーメーカーに入れた。
「それとも言いたくなかった？むしろ俺が忘れてる事が好都合だった？」
間もなくコポコポという音と共に、コーヒーの良い香りが漂って来た。
「１人で空人に会いたかった？」
美咲は、完全に俺をシカトしている。
けれど、微かに震えているようだった。
「美咲」
返事もしない、振り向きもしない美咲に、俺のイラ立ちは限界に向かっていた。
「美咲、その指輪とピアス、クラス会の時にしてたやつだよね？いつもはしてないやつなのに。空人にもらったの？」
空人の名前を出す度に、美咲はピクリと反応している。
俺はもう、自分で自分を止める事が出来なかった。
「美咲、空人はもう居ない…」
「分かってる！」