ソレデモワタシハアナタヲアイス
恋文
ねぇ、ソラ、知ってた?
ソラが死んでから、私は「ソラのサキ」を守るのに必死だった。
サキだった私を、あの頃のまま閉じ込めておきたかった。
だから、一刻も早く、出来るだけサキから遠ざかりたかった。
サキとして私が存在していたのは、ソラの隣でソラにサキって呼ばれていたあの頃だけ。
その為ならなんだって出来た。
でも私って単純。
ほとんど目に見える事ばっかり気にしちゃったんだよね。
「ソラのサキ」は、ソラに髪を切ってもらう為に髪を伸ばしてた。
だから切った。
ちゃんと持って行ってくれた?
「ソラのサキ」は、2つのピアスをしてた。
だから増やした。
ソラ以外の男じゃなくて、ちゃんと真由子に開けてもらったよ。
「ソラのサキ」は、美術部のモデルをやってた。
だから辞めた。
ソラが居ない学校に、私が居る証拠をこれ以上残しておきたくなかったから。
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