ソレデモワタシハアナタヲアイス
しばらくして、ようやく俺の手から力が抜けた。
美咲じゃなくなった美咲が、重力に従って崩れて行く。
「美咲…」
返事は返って来ない。
「美咲…」
俺は、ひざまずいてもう一度、美咲を呼んだ。
静か過ぎるこの部屋で、聞こえて来るのは、雨音だけだった。
俺は、やっと手に入れた最愛の美咲を、1番渡したくない相手の元に、自らの手で送ってしまった。
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