ソレデモワタシハアナタヲアイス
「それはどうも。真由子は相変わらず寛大だね」
自然にイヤミばかりが出てしまう。
俺は、本当に人間として堕落していた。
「私、隆太に謝らないといけない事があるの」
そんな俺に、なんの前触れもなく、真由子が謝罪のネタを出した。
「もっと早く私が理解して、隆太に言ってたら、こんな事にならなかったかもって…」
真由子は、俺の顔から視線を少し下げた。
「何?」
今更、どんな事を聞こうと、何かが変わる事はない。
今が事実の結果である事に、変化は決して訪れない。
俺は、余裕を持って真由子の話しを聞く姿勢を取った。
「2人が付き合いだしてから、ウチに初めて一緒に来た日があったでしょ?」
真由子は、うつむきながら目を泳がせていた。
「うん。真由子がやたら機嫌悪くなって怒ってた時ね」
俺は、そう遠くないあの日を思い出した。
「あの時、美咲が言ってたの。『今の自分はサキじゃない』って」
真由子が顔を上げた。
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