ソレデモワタシハアナタヲアイス
「美咲が隆太に殺された日は、空人の命日…だから、1年でたった1日だけは、あの日だけは、サキとして居たかったんじゃないかな?」
真由子がまた溜め息をもらした。
「…なんだよ…それ…」
さっきまでの俺の余裕は、一瞬で消え去ってしまった。
「じゃ、なんで…俺は…美咲を殺したんだよ…」
真由子の顔がにじみ始めた。
「俺は、美咲が…今でも俺じゃなくて…空人を選ぶのが許せなくて…」
俺は、後悔と共に涙を流していた。
嫌でも、美咲と付き合っていた日々が、勝手にリプレイされる。
確かに美咲は、雨の日にはおかしくなっていた。
けれど、それ以外では、俺はちゃんと美咲に愛されていた。
もちろん、俺も美咲を愛していた。
ずっと想い続けて、ようやく振り向かせたのに、ちゃんと普通に恋人同士として恋愛をしていたのに、死んだ空人の存在だけが、どうしても許せなかった。
死んだ人間に勝てるわけなんてないのに、俺は美咲を繋ぎ留めておきたかったが為に、殺すという手段を選んでしまった。
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