ソレデモワタシハアナタヲアイス
「そうかもね」
うなだれる俺に、真由子は容赦なく言い放った。
「でもきっと、行かなかったら行かなかったで、美咲は機嫌悪くすると思うけどね」
あの頃の美咲のように真由子がニッと笑った。
「じゃ、もう行くね。隆太のこの情けなさをしっかり報告してこなきゃ」
真由子は1つ、息を吐いてから立ち上がった。
「また遊びに来るね」
アッサリと次回の予告をして、真由子は監視役に会釈をした。
「真由子!」
俺は、面会室から出ようとした真由子を思わず呼び止めた。
「美咲にごめんって伝えて。空人にも」
勢い余った俺は、立ち上がって透明の板に噛り付いた。
「嫌よ」
立ち止まった真由子が、振り返った。
「美咲なら、きっと自分で言いに来いって言うよ。空人もね」
真由子は、いつものニコニコ顔になっていた。
「だから早く出て来なって。待ってるから。じゃあね」
そしてそのまま面会室から出て行った。
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