ソレデモワタシハアナタヲアイス
「隆太、ボロボロに泣いてたよ」
私はまた、花を挿したり、お線香に火を点けたりと、空人の時と同じ動作を繰り返した。
「美咲、抵抗しなかったんだって?本当は…ずっと死にたかった?早く空人の所に行きたかった?」
もちろん相手が墓石なだけに、返事は返って来ない。
「ごめんね…気付かなくて…」
美咲が死んで1年。
何度も泣いたはずなのに、今だに涙が出てしまう。
自分が、早く美咲の考えに気付いていたら、隆太に伝えていたら、美咲は今も生きていたかもしれない。
空人が居ないこの世界で、サキを抱きながら、美咲は生きていたかもしれない。
「どっちが…幸せだった?」
もう答えの帰って来ない質問が、思わず口から出る。
私は、少しの間、美咲のお墓の前でグシグシと泣いた。
「じゃ、そろそろ行くね。しばらくは私1人で来るけど、隆太が出て来たら絶対連れて来るから」
涙を拭いて、片付けを始めると、挿したばかりの花が風に揺れた。
「あ、やっぱり青には黄色が1番映えるね」
しゃがんでいた私の目には、青空をバックに、挿したばかりの黄色い花が、キレイに咲いていた。
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