ソレデモワタシハアナタヲアイス
「じゃあね」
私は、その一言を残して、振り返る事なくその場から離れた。
美咲と空人の命日の今日は、梅雨だというのに、空人の葬儀の時のように快晴だった。
もう忘れる事が無い今日、私は何度こうして、ここに来れるだろう。
今なら未来の約束を嫌った美咲の気持ちが分かる気がする。
それでも私は言ってしまった。
隆太との再会を、ここに隆太を連れて来る事を。
―――美咲のように徹底的に貫く事は出来ないけど、ちょっとした未来の宣言なら良いでしょ?―――
望んだって、望まなくたって、時間は進む。
未来は必ず訪れる。
もし、これから私が誤った道に進んでも、後悔をする事があっても、進むしかない。
時間は止まらない。
だから私は、美咲が居なくても、空人が居なくても、隆太が居なくても、立ち止まる事なく進む。
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